2010.3.16

社員教育

有川雄二郎

 

 人こそ宝です。ことに会社組織は、人材がすべてといっても過言ではありません。だから、社員教育には、日ごろから力を入れてます。
 私の教育法は緻密で、人と場合によってやり方を変えますが、おもに3つの方法を多用しています。すなわち、「怒る」、「机をたたくなど激しく怒る」、「脳の血管が切れる寸前まで大声を出して、死を賭して怒る」3パターンが多いのです。しかしあまり成果が上がりません。しかも、抗生物質と細菌のような関係で、繰り返しているうちに、社員の体内に耐性物質ができてくるのです。おおよそ3年ぐらいたつと、私のいかなる怒鳴り声にも、社員はまったく反応がなくなってしまうのです。
 知り合いの、やはり社長で、私の会社より社員も多く、事務所もきれいで、温厚かつ羽振りもいい人が私をたしなめていわく、「有川さん、そう社員を怒っちゃまずいな。誉めてやらなきゃ。自分だってそんなにえばれたもんじゃないでしょ。私なんてかえって、社員に学ぶことが多いのだよ。ともかく、怒るより誉めろ。いいかい?」。その偽善者振りには反吐が出るのだが、ま、一理あるかな、と思い、社員をほめまくってみたこともあった。
「おや、真美ちゃん、いい仕事しているねー。どうだい、このチラシの出来具合は。すかっーとしたA4で、表があざやかなカラー、裏がしぶーく墨1色ときてるよ。いいセンスしてるな。なかなか出来ることじゃーないよ、このチラシってーもんは。しかも仕事が早いときているから、恐れ入り屋の鬼子母神だね。鬼に金棒、真美ちゃんにチラシ。きれいに刷り上って、ほのかに香ってくるインクのにおい、これが値打ちだね。もったいなくて配れませんよ。このチラシを見て、チケットを買わなかったら、これは人間ではありませんよ、人の皮をかぶった動物だよ。よっ、天才、若可士和!」、と部下の担当したチラシ1枚に大げさに誉めたて、自分の言葉に吐き気を催しながらも、社員の教育のため、能力向上のため、と信じて誉めまくりました。が、効果はゼロ。能力は微動だにしない。ただ、馬鹿が笑ってた、というだけで、変化なし。

 

そんなことで、ふたたび私の教育法の原点に戻り、死を賭して、社員の教育に励んでおります。